風説の流布(読み)フウセツノルフ

デジタル大辞泉 「風説の流布」の意味・読み・例文・類語

ふうせつ‐の‐るふ【風説の流布】

虚偽情報を流して、証券取引などの相場を動かそうとしたり、人の信用を損ねたり業務を妨害したりすること。証券取引などについては金融商品取引法で、信用毀損・業務妨害については刑法で禁止されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風説の流布」の意味・わかりやすい解説

風説の流布
ふうせつのるふ

虚偽の情報や未確認の噂を流し,発行市場流通市場において有価証券などの価格形成をゆがめ,投資家の利益を害する行為。相場操縦行為の一つ。金融商品取引法は,有価証券の募集,売り出し,売買その他の取り引き,またはデリバティブ取引などのため,または有価証券などの相場の変動をはかる目的で行なうことを禁止している(158条)。違反者には懲役または罰金が科される。みずからの利益獲得を目的として,当該行為を行なったうえで,変動した相場で有価証券の売買などに及んだ場合は,さらに重い刑事罰の対象となる。風説流布の事実を知った場合,金融庁に設置されている証券取引等監視委員会通報でき,証券取引等監視委員会は独自の調査のほかに,通報に基づく調査も行なっている。インターネット普及に伴って風説の流布が容易になり,問題深刻化している。

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株式公開用語辞典 「風説の流布」の解説

風説の流布

株式等の相場の変動を図る目的をもって、虚偽の情報等を流すこと。そうした情報等は、市場の信頼性・健全性を阻害するものであると同時に、実際に投資家が投資判断をする際に、誤認してしまう可能性もある。風説の流布は証券取引法で禁じられており、違反者は、懲役、もしくは、罰金を科される。個人投資家の証券市場に対する不信感解消を図るために、個人投資家の保護に全力を尽くすことを最大の目標とした機関として、証券取引等監視委員会が金融庁内に設置されている。風説の流布に関して、証券取引等監視委員会に情報提供をすることが可能となっている。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「風説の流布」の解説

風説の流布

投資家が自己責任において証券取引を行なうには、判断のための情報の確保が必須となる。そのため証券取引法ではディスクロージャー(企業内容開示制度)が規定されている。企業は財務諸表のほかにも、株価に影響を与えるような情報に関して、適宜、開示が求められる。その一方で、投資家の投資判断を惑わすことを目的にした虚偽の情報の流布は厳に禁じられている。このような虚偽情報の流布は、「風説の流布」という名称で呼ばれ、もし行った場合、証券取引法により五年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処される。

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知恵蔵 「風説の流布」の解説

風説の流布

株価を意図的に上げるまたは下げる目的のため、市場または個別の銘柄に関する虚偽の情報を流すこと。金融商品取引法で禁止されており、罰金や懲役刑が定められている。最近ではインターネットの普及により誰でも容易に風説の流布が可能になったことが問題とされている。なお、株価に影響を与えないとされる場合には、虚偽の情報でも金融商品取引法でいう風説の流布とはみなされない。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2008年)

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