オーストリアは、19世紀のドイツ統一の際に、排除されてしまったからです。 ドイツは19世紀になっても統一国家がなく、中小国家が分立している状態でした。 統一の機運が高まる中、二つの有力国家によって主導権が争われることになりました。 現在のドイツ東部に存在したプロイセン王国と、スラブ人居住地のチェコやスロバキア、マジャール人居住地のハンガリーなども領土に含むオーストリア帝国です。 ドイツ統一については、オーストリアを統一ドイツにどのように取り込むかについて、3つの異なった主張がありました。 オーストリアを統一同一に含めない｢小ドイツ主義｣、オーストリアのドイツ人居住地域のみを統一ドイツに含める｢大ドイツ主義｣、オーストリアのドイツ人非居住地も統一ドイツに含める｢中欧帝国構想｣です。 大部分の中小国家は大ドイツ主義を理想としていましたが、プロイセンは小ドイツ主義、オーストリアは中欧帝国構想を譲らず、1866年ドイツ統一の主導権を争って両国の間に｢普墺戦争｣が行われました。 この戦争においてプロイセンはオーストリアに完勝し、以降プロイセンの掲げる小ドイツ主義による統一が主導されることになり、1871年、普仏戦争後にドイツ帝国が成立することになるのです。 この結果、しばらくドイツ帝国とスラブ人やマジャール人を多数含むオーストリア=ハンガリー帝国が並存する形になりますが、第一次世界大戦敗北の結果、オーストリアはスラブ人やマジャール人の居住地域をチェコスロバキアやハンガリーなどの分離独立の形で失い、現在の領土になりました。 第二次世界大戦直前に、オーストリアはヒトラー率いるナチス・ドイツによって併合されますが、第二次世界大戦でナチス・ドイツが敗北した結果、オーストリアはしばらく連合国の共同管理におかれ、1955年再びドイツから分離される形で独立を回復し、現在に至っているのです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%A2%BA%E6%88%A6%E4%BA%89参照。