清濁合わせ呑んで闘う女の新しい描き方『女神の見えざる手』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

現代女性の姿を映画からピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第23回は、ジェシカ・チャステイン*1主演の『女神の見えざる手』(2017)を取り上げてます。銃規制をめぐる敏腕ロビイストの暗躍を描くサスペンス。


何のために働き、闘うのか? 非情なまでに信念を貫くロビイスト-ForbesJAPAN


女神の見えざる手 [Blu-ray]

女神の見えざる手 [Blu-ray]


間然とするところのない展開に驚くべき仕掛けが施されていて、一回観ただけでは細部がどう連関していたのかよくわからないところもあり……私はDVDで2回観ました。


この作品は、ジェシカ・チャステインが演じる主人公のキャラで、半分以上成功しています。
仕事に生きるキツめの女はこれまでたくさん描かれてきましたが、ヒロインに見え隠れする”歪み”については、恵まれない生育環境とか親との確執とか隠されたコンプレックスとかジェンダー的な社会背景など、何らかの要因が匂わされていました。それをまったく描かなかったところが新鮮です。「言い訳」がないのです。
従って観る者は、彼女の若干”黒い”側面をそのまま受け取るしかなくなります。そこも含めて魅力的な人物造型に成功しているところが面白いと思いました。

*1:文中、「チャスティン」になっていますが正しくは「チャステイン」です(編集者に修正要請中)。