完了しました
朝鮮半島情勢は予想を超えるスピードで展開している。6月初めか5月末に予定される米朝首脳会談を前に、27日には南北首脳会談が開かれる。目の前の動きはひとまず置いておいて、そもそも、北朝鮮が対話攻勢に乗り出した背景には何があるのか。少ない手がかりの中で、その答えを探ってみる。一般財団法人「霞山会」の堀田幸裕主任研究員に解説をお願いした。
北の対話攻勢、朝鮮半島に新展開
北朝鮮が次々と新しい動きを見せている。4月20日には朝鮮労働党中央委員会総会を開き、翌日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を中止し、核実験場(
ただし、北朝鮮が今持っている核を全て廃棄する「非核化」については直接の言及はなく、「人類の共通の念願と志向に合致するように核兵器なき世界の建設に積極的に寄与しようとするわが党の平和愛護的立場」と述べるにとどまった。6か国協議への復帰や、在韓米軍の問題についても触れていない。
北朝鮮のいわゆる「対話攻勢」は年始以来続いている。この間、北朝鮮は2月の
五輪後には文大統領の特使が平壌を訪問して金正恩委員長と会談。3回目となる南北首脳会談の開催が決定すると同時に、この時、北朝鮮が提案した米朝首脳会談を後日、トランプ大統領が受け入れると宣言し、事態は急展開を見せた。
4月18日には安倍首相の訪米に合わせるかのように、トランプ大統領はポンペオ中央情報局(CIA)長官が訪朝し、金正恩委員長と極秘会談していたと発表。米朝首脳会談の準備が進んでいることをうかがわせた。
北朝鮮側も米朝首脳会談に向けた布石を打っている。3月末には金正恩委員長が自ら北京へ出向き、
中朝首脳会談の前、両国の関係は最悪の状態だった。国連安保理の対北制裁に中国が同意したことなどをめぐり、昨年は北朝鮮の党機関紙が中国を名指しで強く批判する論説を掲げるほどだった。しかし、そうした両国間のしこりを表向き一切うかがわせることなく、関係修復が演出された。金正恩委員長の北京滞在時間は実質1日未満であったが、習主席は到着日の